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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
カテゴリー:
一首鑑賞
夕光が送電線をなぞりゆく突き放すなら引き寄せないで
春となる光に空は明るめりいづこより来るこのかなしみは
おとうとが春服をドラムバッグから出して夏服詰め込んでゆく
夢のなかで誰とはぐれしわれならむはぐれたること少しうれしく
うどん屋の面接受けに行きし友そのうどん屋に顔見あたらず
激情の匂いするみず掌にためてわたしはすこし海にちかづく
白い根の水にからまる深夜にはひんやりとしてすてきなまぶた
胴吹きの花のあとから枝のびて難しいのは終わり方だな
「めし」とのみ書かれた店に入りゆく石仏めぐりの旅の終わりに
桜には横顔がないからこわい春から春へ枝をのばして
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