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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
カテゴリー:
一首鑑賞
痛き玉
掌
て
にもてるごとしふるさとの秋の夕日の山をあふげば
夜の道吾子と歩けば月光に打ち粉をされて光る猫をり
苦しみて生きつつをれば
枇杷
びは
の
花
はな
終りて冬の後半となる(番外編)
雪原に生れし窪みそれぞれに影やわらかく春の陽は差す
スタンドの傘がはずれて裸電球六十ワットがノートを照らす
客死はたのぞみしことのはるけくも死さへまどろむふるさとの墓
揉上
もみあ
げは
剃
そ
らないことに理髪師が同意したあと風が出て来た
乳母車押しくる母と車椅子押しゆくわれがすれちがふ午後
わが体の秘密をいはば
左膝蓋
ひだりしつがい
下部一寸余脛毛つむじ巻く
父の顔の幅だけいつも開いているカーテンが言う「待ちょうちゃったで」
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