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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
カテゴリー:
一首鑑賞
その尻毛編みて垂れたり美しき出走馬をり走る前なる
千人の午睡を運ぶ巨大機の三万フィートの春のたそがれ
ひこばえの低く吹かるるひまに見ゆ雀の貌のかくあきらかに
幾百万突き刺さりくる線描の天のしぶきのサイゴンの雨
坂をくだれば腿の高さの突き当たりにガードレールが見えている坂
白杖の先に桜の花びらが貼りつきてをりそのまま歩く
このビルはカラオケになる私なら歌うためのビルそう思って建てる
片側を闇にのまれてそよぐ樹を観ればかつてのわたくしならむ
ゴンドラが緑の谷の上をゆく うれしさと不安の起源はおなじ
匂ひの記憶、ではなく記憶そのものの匂ひとおもふ四月の雨は
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