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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
月:
2009年2月
どこでもないところへゆきたい あなたでなければならないひとと
啄める林檎の肉のたっぷりとありてひそけくながれゆく時
灯消し稚き妻が息づきぬ窓の外に満ちし冬の月光
劣情が音立つるほど冷えている。きさらぎ、デスクワークのさなか
かなしくも恋と知る日はかたみにも悔いて別るる二人なるべき
そらいろの小花にとりかこまれながら電信柱けふも芽ぶかず
脱ぎ捨てた服のかたちに疲れても俺が求めるお前にはなるな
再び若くなることあらじ昨年よりも幹太く濃く椿ひらきぬ
恨みの数つもりて老いは苦しきにいにしへびとは太鼓打ちたり
ねむらないただ一本の樹となってあなたのワンピースに実を落とす
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