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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
月:
2009年5月
朝顔の絶えることなく咲きだして誰のものにもなれない弱さ
内に飼い慣らす怪物 哄笑とともに若葉を吹くこの街で
男女とは一対にしてはるかなる時間差で置く白き歯ブラシ
生ひ出てそこを動かぬ木草らのもの思ふ日暮れ白き十薬
一歳のむすめと乗りて鞦韆(しうせん)の果てざるひびきふるへつつ聴く
ひと日樹をしきりにゆすりなにごとか問ひゐし風もいつしか去りぬ
おとうとが喪服持たざる心配を息ぎれしつつ母は言うなり
誰が決めし「母の日」というおろかさにワインがとどき日傘が届く
無理をしてほしいと言えば会いにくる深夜かなしく薔薇を抱えて
勝ち負けの淡くなりゆくわが生か 水木の花もいつしか終わる
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