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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
月:
2009年6月
いちまいの皮膚にほかならない皮膚を引き裂くほどに愛してもみた
もうどんな約束もなし身ひとつを運びきたりて菖蒲にかがむ
わが生まむ女童はまばたきひとつせず薔薇見れば薔薇のその花の上に
右足から蔓を伸ばして右耳に凌霄花の花咲かせたし
ひるがほは火傷のやうにひらき出づこの叢(くさむら)にあなたは笑ふ
日照雨過ぎムーアの丘に虹立てり大洪水後いく度目の虹
立ち上がりわが手に縋る柔らかき母がてのひら息子を忘る
吃水の深さを嘆くまはだかのノア思いつつ渋谷を行けば
われよりも平熱低きことを知る眠れる首にそっと触れれば
足もとに寄り来る鳩はにんげんがにんげんを殺すことを知らざり
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