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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
月:
2009年11月
冬は冬の枝かたちよき玉蘭(はくれん)につくづくとゐる一つひよどり
見ないまま抱きあふとき骨格のふかさの中でわが咽喉ほそき
手のひらに豆腐ゆれゐるうす明かり 漂ふ民は吾かもしれず
おそ秋の陽が氾濫する街をきて憎むこと多き愛をおもえり
自らにつぶやくように小(ち)さくなりしかれども炎(ほ)はおさまりみせぬ
相聞もインターネットでかわす恋仮想現実ゲームのなかで
子は天与の者にてあるか秋の陽は贋金(にせがね)のごと黄菊を照らす
「さびしい時うさぎは死ぬ」と母言ひき呪文めきたるさびしき言葉
苦しみの実りのごとき柿ありて切なしわれの届かぬ高さ
おとうとはとほくてたふとい 其の背なにいつより触れずわれらねびゆき
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