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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
月:
2010年6月
晴れ上がる銀河宇宙のさびしさはたましいを掛けておく釘がない
寒ゆるぶ日の昏方を停りゐる貨車に靜まりて黑き車輪あり
捕へたる蜘蛛をかまきりは食はんとす優位なるものの身の美しく
声閉ぢて石になりたる石なればせめて月光に応答したまへ
ぼくたちは時間を降りているのかな膝をふわふわ笑わせながら
感情の水脈(みお)たしかめて読点を加えるだけの推敲なせり
水際には死ぬために来し蜂の居てあわれわずかにみだりがわしき
乳飲み子の学童の吾子の笑む写真一枚一枚亡き子のやうに
熱帯の蛇展の硝子つぎつぎと指紋殖えゆく春より夏へ
春山の草のくぼみに忘れたるつるぎを搜し一生(ひとよ)は過ぎつ
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