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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
月:
2010年11月
からだのないわたしはだれに見えるのか酢のような匂いをひとはうたがう
ひとひらの置手紙ある朝なり皿白く輝(て)り誰もをらざり
連れられてシベリア出兵を駅に送る兵と馬とのただ長き貨車
竹竿(たけさを)の朽ちて割れ目に入りし雨打ちおとしつつもの干す今朝は
俳優の演技終はりて曲げゐたる細枝しづかに戻す助手の手
色彩のかぎりを尽す夕ぐれや今日愛されしコメディアンの死
輸送機と爆撃機の音聴き分けるうすくれなゐの夕さりの耳
坂を登ると見ゆる水面や登りきて打ちつけに光の嵩にまむかふ
プラカード持ちしほてりを残す手に汝に伝えん受話器をつかむ
ワイシャツの肘に乾けるご飯粒一日をわれとともにありしか
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