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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
月:
2011年5月
ひるがほのかなたから来る風鳴りが銀の車輛となる夏の駅
海嘯ののちのみぎはは海の香のあたらしくして人のなきがら
底ごもる地下鉄の音過ぎゆくを跨ぎて暗しわれの家路は
ハロー 夜。 ハロー 静かな霜柱。 ハロー カップヌードルの海老たち。
横にいてこうして座っているだけで輪唱をするあまた素粒子
死者に逢ふ、ことだつてある……… 写真帖(アルバム)を繰るやうに街角を曲れば
哲学を卒(を)へしこころの青々と五月、机上に風ふきわたる
竹・藁・葦こまかく堅く編みつぎてここにもモンスーン圏に生くる者たち
どこへも届かぬ言葉のやうに自転車は夏の反射の中にまぎれつ
頬のつめたきはずのひとりをさがしつつ蕾のおほき庭を歩めり
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