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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
月:
2011年6月
小雨降る夜の渚に傘捨てて走れるわれの ふるさとここは
だきしめてやりたき肩が雑踏にまぎれむとして帆のごとく見ゆ
ジュズダマの穂をひきぬけばひとすじの風で河原と空がつながる
〈弧(ゆみ)をひくヘラクレス〉はも耐えてをり縫ひ目をもたぬひかりのおもさ
途方もなく高き暗黒より落ちて来る雨水がただにデモを濡らしぬ
帝王のかく閑(しづ)かなる怒りもて割く新月の香のたちばなを
飛鳥仏に会いたるのちは貌という果実のひかり夕べの奥に
こひねがい潰(つひ)えたる夜を黙しゐて子の万華鏡のさまざま覗く
つばくろが空に搬べる泥の量(かさ)ほどのたのしみ君は持つらし
傷あらぬ葩(はなびら)のごとかばはるるうらがなしさに妊(みごも)りてをり
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