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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
月:
2011年6月
梅雨くればふかきみどりに揺れやまぬ肌のひかりがこの国のひかり
てのひらに稚きトマトはにほひつつ一切のものわれに距離もつ
月光の溜る机上に脚すこし開きてコンパス泳ぎはじめる
寄り弁をやさしく直す箸 きみは何でもできるのにここにいる
オレンジの切り口あかるき朝の卓遠くで鹿が角を切られる
泣き濡れてジャミラのように溶けてゆく母を見ていた十五歳(じゅうご)の夜に
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