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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
月:
2011年7月
真夜中の鉄棒に手は見えざれど誰(た)が握力か残りてゐたり
朝おきて泡たてながら歯をみがくまだ人間のつもりで俺は
灰色の空に黙(もだ)せるNIKORAIの黒き円屋根(まろやね)われも黙せる
我の所掌となりし機密の書庫の鍵に赤く小さきリボン付け持つ
高層ビルに浅丘ルリ子のくちびるの半ば開いて雨ふりそそぐ
ゆふがほの解(ほぐ)れるときのうつつなるいたみはひとの指をともなふ
ホ-ムラン打たれてがくりとつく膝の膝はやむなく意志に負けしか
僕はいくつになっても夏を待っている 北蠅座というほろびた星座
かつて祖父は資産運用に敗れたり古き通帳に雨の匂いぬ
灯台に風吹き雲は時追えりあこがれきしはこの海ならず
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