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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
月:
2011年9月
木の影の塀をつたひてくる夕べ自転車を押すは吾が父ならん
わたしの自転車だけ倒れてるのに似てたあなたを抱き起こす海のそこ
テーブルを挟んでふたり釣り糸を垂らす湖底は冷たいだろう
はるばるとよさの湊の霧はれて月に吹き越す稲のうら風
小さめにきざんでおいてくれないか口を大きく開ける気はない
暗やみのかたちに合はせ何度でも鋳直すことのできるこの指
池の面にさし出でし桜の幹に鳴く遠世のごときひとつかなかな
たくさんの空の遠さにかこまれし人さし指の秋の灯台
うす青き朝の鏡にわが眉の包むにあまるかなしみのかげ
大きなる手があらはれて昼深し上から卵をつかみけるかも
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