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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
月:
2012年9月
悲し小禽つぐみがとはに閉ぢし眼に天のさ霧は触れむとすらむ
のびやかな影を曳きつつ老い人は午後の日差しに出逢いつづけぬ
貝の剥き身のようなこころはありながら傘さしての行方不明うつくし
口内炎は夜はなひらきはつあきの鏡のなかのくちびるめくる
うちつけにものぞかなしき木の葉ちる秋のはじめになりぬとおもへば
琥珀石透かすいつときゆふぐれは右の眼にのみ訪れぬ
忍ぶ軒端に 瓢箪は植ゑてな 置いてな 這はせて生らすな 心の連れて ひょひょらひょ ひょめくに
奥山に淋しく立てるくれなゐの木の子は人の命とるとふ
舗石に蠟石で字を描く子等は頭(ず)を垂れたままとっぷりと昏る
標本ビンに茸がふとる研究室を辞める話につき合いており
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