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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
月:
2012年10月
馬追虫(うまおい)の髭(ひげ)のそよろに来る秋はまなこを閉ぢて想(おも)ひみるべし
「わたくしが堅くし、たくし上げた和紙を託してみても白紙のままね」
みなそこに沈む平氏へ礼しては爺さま正座に魚釣りあげし
夕さればそぞろあきりす銃器屋のまへに立ちてはピストルを見る
門ありて秋風ききし日はいつぞ独裁者死ぬみな急死なり
桔梗のむらさきのいたさ病む胸をすりよせて石の墜つる音きく
ひつじ雲それぞれが照りと陰をもち西よりわれの胸に連なる
脱ぎ捨てればひとでのやうに広がれるシャツが酸つぱい匂ひを放つ
いくたびも廻転扉(ドア)に吸はれ入り芝郵便局に新しきコスモス運ぶ
日の下に妻が立つとき咽喉(のど)長く家のくだかけは鳴きゐたりけり
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