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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
月:
2013年5月
歩みきて去年の団栗拾ひたりわづか濡れたる土の上より
堀りすすむ間道いくつも井戸をすぎずぶぬれの身をよこたえるまで
ソックスを履かず冷えるにまかせたる指をはつ夏の陽に差し入れぬ
きいんとひきしまつた空へしたたらすしづくは硝酸でなければならぬ
コロッケを肉屋に買ひて歩みつつ少年の日のよろこびを食ふ
枡の目に合はせてわれは踏み行くと足のずれきて跳ばねばならぬ
追ひ抜かれ後退しゆくランナーをとらへをりしがやがて突き放す
首とわかるまで網棚をころがりてゆくむこうまでゆく
まだ人のかたちをせるよ夜の駅の大き鏡の前よぎりゆく
目隠しをされたらきっと折り鶴の額のかたちを忘れてしまう
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