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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
月:
2014年2月
生きて来てふっと笑いぬ今正午百合ケ丘は坂ばかりある町
三十年経て生々しこの家に充員召集令状を夜に携へき
灰色の蛇腹が延びて搭乗を待つ旅客機の腰にふれたり
放課後を纏はり来ては酸漿を鳴らす子ありきいま如何にある
ハンカチを泪のために使ふことなくなりて小さき菓子など包む
空蝉の毀誉褒貶にとらわれず一日一日をじわりと生きむ
現役を退(ひ)いていながら役職の順につづきぬ焼香の列
夫はたぶん知らないだろう抱きかかえるように拭きます便器というは
消火器の肩のあたりを拭きながらいつしかわれの肩と思いぬ
数ふれば二万五千日を越えてをり君にわかれしそのかの日より
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