コンテンツへスキップ
砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
月:
2016年2月
カーテンを玻璃戸のうちに巡らせて古書店ノアは灯りそめたり
たそがれの舟に原子の火をのせてあなしづかなるあそび女がゐる
父居らぬ家に目覚めてもう誰も早起きをせず足音も聞こえず
つゝましく 面わやつれてゐたまへば、さびしき日々の 思ほゆるかも
ここに立つここより他に無き場所の空に枝を張り鳥遊ばせて
てのひらをくぼめて待てば青空の見えぬ傷より花こぼれくる
いくたびも暗証番号拒否されて機械の横に寄りかかりたり
四十五度あげてゑがきし眉尻のをみなら朝をどつと乗りくる
若竹にまたもや先を越されたり私が私を脱ぎたきときを
青駒のゆげ立つる冬さいはひのきはみとはつね夭逝ならむ
投稿ナビゲーション
前のページ
固定ページ
1
固定ページ
2
固定ページ
3
次のページ