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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
月:
2016年7月
雲梯のうえから見ていた校庭にわたしがいないことの正しさ
こぼされた砂糖の最後のひとつぶのかなしいひかり降りしきる ガザ
あおむけに書けばかすれてゆくペンのちいさなちいさなボールをおもう
ふかくふかく潜る鯨のしづかなり 酸素マスクに眠りゐる人
氷[ひ]の熱は氷室に満てりみまかるとみごもるの語のふしぎな相似
かはせみは雫こぼして枝にもどり水中の魚一尾消えたり
足を引く老[おい]が乗り込む夕暮のバス停に光の函[はこ]を見送る
あかね雲かがやく街の古書店にイスラム経典しづもりてあり
新学期はじまりおわりミニチュアの銀の複葉機をもらう夢
ハイヒールにゆく春の街身の芯を立てれば見えくるものあるやうな
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