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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
月:
2016年12月
眠る間にすべてを忘れますように 百合の香りがしている廊下
当事者が切り出しくれば長くなる無断複製をされにし経緯
あかときに目覚めし人は隣りゐる老女の貌を見るにあらずや
雑魚寝する頭跨ぎてだれかまた棺の傍に泣きにゆくらし
欄干[らんかん]に雪のふちどりこの夜はなんという劇の幕間[まくあい]であろう
食卓にこぼれて光る塩の粒、宇宙の闇をわれは想へり
鈍いひかりの空から音もなく落ちる……トナカイ その後 橇 マスタング
大鍋に湯がゆっくりと沸きたつを見つめておれば一世は過ぎん
はしがきもあとがきも無き一冊を統[す]べて表紙の文字の銀箔
不自由な位置に貼りつきコンセント叱られつづける二十数年
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