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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
月:
2018年5月
火鉢に火 灰皿に灰 花瓶に花 あなたはどんな手をしてるのか
ゆるやかな心変わりで幽霊に会えなくなった八月のこれから
スズカケと肌が似ていてスズカケじゃない並木道 木を見て歩く
空白の原稿用紙ひとマスは注射のあとにはりつけたまま
ボンネットに貼りつく無数の虫の死が星座のように広がっている
八月の蟻がどんなに強そうに見えるとしてもそれは光だ
奇跡などなにひとつ起こらざりしかな風に若葉が日がなかがやく
ホームとの隙間が大きな駅に住むあなたの家を訪ねていった
腕時計ひかりをかへしいつのまにか半袖ばかり着てをれば初夏
兜虫の背中おさへたる虫ピンを写して明るき昭和の図鑑
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