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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
月:
2019年3月
吉川宏志/桜まだ咲かざる闇に立ちながらアナクレオンの如き死を聞く
山内亮/避難所のラジオ体操第一は顔に両腕をこするよう廻す
佐々木実之/使ひきらざるティッシュを受け取り来し我にかなしみのごとくティッシュは溜まる
庄司邦生/濁流に胸まで浸かり年金証書頭に載せてひたすら逃げる
紺野裕子/たれかれの消息にはなし及ぶとき放射線量つもるふくしま
金野友治/田も畑も見渡す限り沼となり遺体浮く見ゆ三月十二日
井上雅史/七年を経た仙台の地下鉄の通勤客にスニーカー多し
林静江/十一日で止まりし日付けと日直を丁寧に消し職を退く
花山周子/三時草の爆ぜたるのちのさびしかる錆色の実を真夏に見おり
真中朋久/子の旋毛のやうだと思ひもう一度細線にかへて台風を描く
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