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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
月:
2020年2月
しろくま科プランクトンが溺れててシャンパンに浮く彼らの気泡
鉛筆のごとく心はとがりゆき朝の道路がまっすぐになる
捨てられた都ばかりが大きくて今は胎児に帰るうみへび
紅い薔薇が一本風に飛ばされて陽のなかのフイッツジェラルドの墓
姉さんは今宵帰らず硝子窓力なく鳴る 冬が来ていた
お父さん大嫌いって子に言われしばらく蜜柑がむけなかった
ゆふまぐれ、とふ語の確實性のことなど思ひつつ江ノ電を待つ
みずうみの岸にボートが置かれあり匙のごとくに雪を掬いて
稲妻の刹那崖きりぎしすみれいろ雨ははげしく斜めなりけり
星が行く道のながてを何となく夫の名前を呼びたくて呼ぶ
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