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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
月:
2020年7月
しづかなる梨の畑を青あをと分けて流るる夏井の川は
わぎもこが捕へし蝶に留針とめばりをつと刺すを見て心をののく
赤レンガの敷かれたる道その筋目たどれば果てのなきあみだくじ
腐れたる魚うをのまなこは光なし石となる日を待ちて我がゐる
鳥のように木の間を分ける黒揚羽 思い出はもう庭に来ている
ほのぐらきわがたましひの黄昏をかすかにともる黄蝋もあり
あたたかき日に氷片のごとき日をはさみて冬のはじめ子は癒ゆ
魂は人にむくろは我に露ながら夏野の夢のなごり碎くる
檜の香部屋に吹きみち切出しの刃先に夏の雨ひかりたり
妖怪はいて怪獣はいなかった 帽子を脱いで沼を見ていた
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