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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
月:
2021年1月
なつかしきのごときのよりそひ此のさきのことなつかしくわが思ひゐる
雪道にぽつりと落ちている松の小枝の緑なまいきである
かの見ゆる空の車に行かむときわがあゆみたり雨ふり来たり
読むべき本すでに読みつと言ひて子は図書室登校やめてしまへり
休息の静けさに似てあかあかと水上警察の右に日は落つ
月かげを
背後
そびら
に溜めてなかぞらを量感すごき五月のむら雲
花苑のような合唱の波のなか舌足らぬ聲を探しはじめる
この沼の底に冥府はあるならむ「はや舟に乗れ、日も暮れぬ」の声
人影のまつたく消えた街のなかでピエ・ド・ネエをするピエ・ド・ネエをする
童貞に向けられている放送を処女の私はひっそりと聴く
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