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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
月:
2022年4月
冬の朝鎖されて舌からめあふくちづけをやめないで、おとうと
歌数首読みて心の静まれば銀のくさりを引きて灯を消す
くちぶえは背中にぬけてぼくたちにもうふらふらと夏がきたんだ
ミュシャの描く裸婦が嫌いだ それに似て膨らんでゆく私の胸も
繫がらぬ母への電話あおぞらを飲み干すように深呼吸せり
低氣壓はラサ島におこりをりといふわが庭に萩はゆれゐたりけり
よきひとを松浦の里の夕まぐれいづこともなく匂ふ梅が香
春のひかり充ちれば重い荷のように流すよ笹の舟を浮かべて
地下鉄でドラマチックな話だと窃かに聞けばドラマの話
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