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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
月:
2022年5月
黒き蝶ふと入りきてひらひらとひとの間を縫ひて去りたり
裂けて地にある花びらに人間の童話を聞かす。五月某日
昨日の雪わが家裏に吹きだまりあはれゆふべは薄明りせる
このくにの空を飛ぶとき悲しめよ南へ向かふ雨夜かりがね
立っているうちに霧が過ぎしらさぎが過ぎてただ変わり果てたマフラー
春の夢たくさん詰めたふかふかの枕だったがかなりへこんだ
石仏にされたる貌の欠けてきてまた野の石に還りゆきたり
遠目には宇宙のようで紫陽花は死後の僕たちにもわかる花
死んだ白い兎の毛ゆびにつまみとる私の部屋着のカーディガンから
水の夢イチローの夢ひとしきか老いを知らねば夜半の虹たつ
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