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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
月:
2022年6月
ヒトわれの辛き残暑に力得るゴーヤなるべし次々みのる
薄っぺらいビルの中にも人がいる いるんだわ しっかりしなければ
生きむとする気力の違ひ木にありて雑木林のみどり、きみどり
みりん甘くて泣きたくなつた銀鱈の皮をゆつくり噛む夏の夜
降りては来ない あふれるのよ 遠いはかないまなざしからきっとここへ
たつぷりと真水を抱きてしづもれる昏き器を近江と言へり
眠らない子を叱るときにわれの言うちゃんと寝なさいのちゃんとって何だ
海に身体を預けるような冗長な語りをありがとう 初鰹
空芯菜のみづみづしきを鉄鍋にざざざつと炒め哀しく啖らふも
近い海が左手にひろがる景は 百日紅 いつの思い出だろう
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