吉田 隼人


カメを飼うカメを歩かすカメを殺す早くひとつのこと終わらせよ

高瀬一誌(『高瀬一誌全歌集』六花書林:2015年)

亀が好きなので亀を殺すと言われると悲しくなってしまう。早くひとつのこと終わらせよ、とは言っても亀を歩かせただけで亀を飼うプロセスを完遂したとみなして殺してしまうのはあまりにもったいない。そのもったいなさを面白がる一首なのだけど、もったいないと言えばあまりにもったいない気持ちにさせる歌である。

確かに亀は見ているとじれったくなるのもわからなくはない。早くひとつのことを終わらせようという気持ちで生きていると、亀はモタモタして頼りないかも知れない。

それにしても亀を殺す歌なのに重みが絶妙に奪われているのはカタカナ表記のカメのせいだろうか。歩いただけで殺されてしまうカメはしかし、カタカナ表記のせいか作り物のカメのように思えてくる。