メイド・イン・ジャパンの武器が海外で子どもを殺さむ日々の夕焼け

大口玲子『スルスムコルダ』2025年

戦争は弱いものから死んでいく。二月末にイラン南部ミナブの女子小学校が爆撃されて児童ら175人が亡くなった。自分が亡くなった子どもの親だったら、人生をかけて復讐をすると思う。悲しみの連鎖を自分で止められるほどわたしは強い人間ではない。でも誰にナイフを突き立てればいい?トランプに?アメリカに?イランに?戦争は組織が行うものだから相手の姿は見えない。

大口の歌は2023年12月23日に改訂された「防衛装備移転三原則」を受けて詠まれた。どこか遠い海外で、日本が生産に関わった戦闘機が子どもを殺すだろう。その日の夕焼けを思う。

内閣官房ホームページ「防衛装備移転三原則及び運用指針の改正」を見てみる。

政府は、防衛装備の海外移転については、昭和42年の佐藤総理による国会答弁(以下「武器輸出三原則」という。)及び昭和51年の三木内閣の政府統一見解によって慎重に対処することを基本としてきた。このような方針は、我が国が平和国家としての道を歩む中で一定の役割を果たしてきたが、一方で、共産圏諸国向けの場合は武器の輸出は認めないとするなど時代にそぐわないものとなっていた。また、武器輸出三原則の対象地域以外の地域についても武器の輸出を慎むものとした結果、実質的には全ての地域に対して輸出を認めないこととなったため、政府は、個別の必要性に応じて例外化措置を重ねてきた。

「実質的には全ての地域に対して輸出を認めないこととなった」それは知らなかった。

我が国は、戦後一貫して平和国家としての道を歩んできた。専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国とはならず、非核三原則を守るとの基本原則を堅持してきた。

すごいじゃん。

他方、現在、我が国は、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面している。そして、我が国が位置するインド太平洋地域は安全保障上の課題が多い地域であり、この地域において、我が国が、自由で開かれたインド太平洋というビジョンの下、同盟国・同志国等と連携し、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を実現し、地域の平和と安定を確保していくことは、我が国の安全保障にとって死活的に重要である。

おや?「我が国の安全保障にとって死活的に重要」という観点が出てくることで、スタンスがぶれてくる。平和を維持するために仕方なく武器を輸出するという言い方に変わって、

政府としては、国際協調を旨とする積極的平和主義の立場から、国際社会の平和と安定のために積極的に寄与していく考えであり、防衛装備並びに機微な汎用品及び汎用技術の管理の分野において、武器貿易条約の履行及び国際輸出管理レジームの更なる強化に向けて、一層積極的に取り組んでいく考えである。

最後には「積極的に寄与していく」「一層積極的に取り組んでいく」と方針が示されている。何度もレビューが入って、いろんな人の思惑が入り乱れるようになったであろう、文書作成者の苦労が感じ取れる文章だ。

戦争が平気で子どもを殺すことしんしんとシクラメンの花が知つてる

「スルスムコルダ」はラテン語で「心を高く上げよ」の意味。カトリック教会のミサで司祭が呼びかけるとき言葉だという。心が落ち込んでいても顔を上げよ、ということだろうか。画面の明かりから一度顔を離して空を見上げる、心を少しだけ、現実世界の刺激から切り離す、そういった瞬間を日常のサイクルに意図的に組み込むのは良いと思う。

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