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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
石川 美南
あやまりにゆくとき地図にある橋は鷗の声にまみれてゐたり
顔といふからだのいちぶに自意識のすべてが集ふぶだうのやうに
さよならをあなたの声で聞きたくてあなたと出会う必要がある
愛すべき冥王星の小ささを誰も言はなくなりけり誰も
花の散る速度と競ひ音階をのぼりたりわが少女期のカノン
ムービングウォークの終りに溜まりたるはるのはなびら踏み越えてゆく
春の日のななめ懸垂ここからはひとりでいけと顔に降る花
叫喚の声なきこゑの空ゆくと空みつるさくら仰ぎつつをり
ふとからだ軽くなりたるゆふぐれをさくら樹が産み落とす花びら
メガバンク、メガバンクとぞ囁きて歯ならぬ桜咲き満つる国
はれやかな空調あればこの春の気配は消えてひとり来ている
夕ぐれは焼けたる階に人ありて硝子の屑を捨て落すかな
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