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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
門脇 篤史
〈僕〉といひ〈俺〉ともいひて定まらぬわれを知りつくす晩春の河
あなたからはなれて暮らす晩春の机に置かれている裁ち鋏
夕暮れの書店に集ひ一冊の本選ることに安らぐ者ら
一緒に来た瓦斯が別別の穴を出て湯をそそのかすやうに春の夜
ちゃんと歩いてここまで来たってわかるから靴は汚れているほうがいい
ひるめしにくひし筍ふたきれがうまかつたなと夜半おもひいづ
伸び出でしばかりの太き早蕨を山よりもらふ蒔かずにもらふ
みづからを閉づるちからのまだのこる白木蓮を夕闇つつむ
てのひらのうへに落ちたるはなびらを見つめるひとが風景となる
恋文もやさしく開けむ崩さずにおぼろ豆腐を箸に喰ふひと
生きるとはその身のうちに洞穴を抱へることか倒れし楡よ
キッチンは逆立ちしてもいいところ君もケチャップ我もケチャップ
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