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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
梶原 さい子
ゆるゆると校正すれば「死」も「花」も同じく見えて眠たし午後は
飯蛸の
飯
いい
がぎっしり詰りいるような頭痛の何年ぶりぞ
をさなさははたかりそめの老いに似て春雪かづきゐたるわが髪
この春は未来の息吹 二つの目縦に並べる人々歩む
振り向いてはいけない 翳る軒下に地蔵のように母の立ちいる
さびしいを知らない人よ「さむいの」と膝をのぼってきてしがみつく
ああ、娘は見なくてよかつたずんずんと迫りきたあの津波の黒を
震災を知らないということだけは知っているただ、知っているだけ
百年後も決して終はらぬ三月がまた来る冬のコート着たまま
天冠のとれし女雛のまぬけ顔したしみありてわれは寄りゆく
名を呼ばれ息子が立ちぬその名もていつか死ぬのか弥生のひかり
用務員早崎カツがまた怒る「先生たちのだらしないこと」
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