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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
井上 法子
桜には横顔がないからこわい春から春へ枝をのばして
いづこから雲の白鯨あらはれて微笑みてをり目から崩るる
画像認証で燃えている森があり自転車としてそれを選んだ
炎であればもつとさびしい桜から鳥がとびたつ花穂をゆらして
君に逢ひにゆく傷つきに海よりの夕風はらむシャツを帆として
少女らの微笑のなかで春は迷子になつてゐる ここからは神の領分
革靴にさくらはなびら踏みしだく生のあはひに桜はそびゆ
ふるさとはハッピーアイランドよどみなくイエルダろうか アカイナ マリデ
夏の大セールで買った妹はセーター厚地のヒツジの柄の
星と臍を繋いで歩く曲がるべき角を曲がれば星と別れる
この川を往き交ひし戦後の日々埋めて葦むらの中に朽ちてゐる舟
戰爭のたびに砂鐵をしたたらす暗き乳房のために禱るも
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