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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
岩尾 淳子
空席を探すあなたを淡い陽はジョルジュスーラの絵にしてしまう
何歳になったの? などと子はわれを木の葉木菟コノハヅクのように見つめる
咽喉ふかくうるほしうるほし生きてゆく目白も日雀も四十雀はも
べつべつに絵を視ることになれてゆく河口のやうな午後のうすら陽
鉛筆のごとく心はとがりゆき朝の道路がまっすぐになる
紅い薔薇が一本風に飛ばされて陽のなかのフイッツジェラルドの墓
お父さん大嫌いって子に言われしばらく蜜柑がむけなかった
みずうみの岸にボートが置かれあり匙のごとくに雪を掬いて
星が行く道のながてを何となく夫の名前を呼びたくて呼ぶ
麵麭を買ひ「ma mère est morteママが死んだ」と言ふ我に野の風のごとうなづくダミアン
ついさっき裸の馬が駆け抜けたそんな二月の午前五時半
椽臺に帽子を脱ぎて仰ぎ見るその紅葉もみぢの木このもみぢの木
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