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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
魚村 晋太郎
鬼の面はづしてみればあはあはとひかりあひつつうみに咲くはな
吊られあるわがオーバーの若き日の父立つに似ていきどほろしも
好きなヒトと好きだったヒトが一階と二階に眠り春の雪降る
くたびれた軍手が燃えるうつくしさ人は眠りぬ我も眠らむ
冬の夜の洗面台に忘れたるくれなゐの櫛おもひて眠る
寄るべなき思ひにひらく枕絵の火鉢に赤く炭は燃えをり
たそがれてゆく樹木らもしばらくは影暖かし人のごとくに
トウキョウノユキハナキムシぐちゃぐちゃに轢かれた青い雑誌を濡らす
流れよる雪のひとひら幸あるは少女のうすき手のひらにのる
カレンダーの反り美しき一月の泉のごとき十日間ほど
残り世の半分(なから)は眠らねばならぬ樹齢のながき杉の鬱蒼
からだの中の柊を見てゐるやうな君のまなざし 逢ひたいと言ふ
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