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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
岩尾 淳子
おとなしく人の流れにはこばれて道具屋筋で脇にそれたり
門かど柳やなぎあかるく透すきて広池ひろいけの向うをとほる滊車きしゃあらは見みゆ
明けきらぬサントス港に船出待つニュークロップが青く匂へり
ベビー服のうえを模様が通りすぎ赤ちゃんはみな電球のよう
きまかせに七羽はうごく刻々と水のおもての景かへながら
跳ねてゐる金魚がしだいに汚れゆく大地震おほなゐの朝くりかへしみる
憧れのなくなりしことが微かなるあこがれとなり生かされてゐる
大丸のビルへ垂直にそらぞ垂るそらはざらざらの手触りであり
菓子ぱんのふうわりあるのが砂濱の夜に弾力となり椅子たのしくす
ゆくバスの窓に見てゐる大阪の続きのごときベルリンの記憶
ひつじたちは佇ちながら草をはむ 無言を古着のように羽織って
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