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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
梶原 さい子
つよい国でなくてもいいと思うのだ 冬のひかりが八つ手を照らす
水鳥のからだのなかに水平を保てる水のあり冬の空
どこからが音であるのか一本の指のおもさが
鍵盤
キイ
になるとき
外を向いて俯いてゐるひとたちが綺麗だ 風の夜のローソン
わたくしはわたくしの王さいはての校舎でペンの選別をする
〈みんなのもの〉のむごさの中にすりきれた公園のパンダ夕べに沈む
「何もなかった所に建ったね」と声のするかつては萩の咲きていたりし
ヨット一艘丸ごと洗ひたし十一月の洗濯日和どこまでも青
むらさきしきぶ紫の実の濃く熟れて老いゆくは修羅をこえてしづけし
木の家に石の男と棲みつきて秋冷の夜の豆を煮てゐる
休日のわたしがガラス戸に映りふつうの女の人のようなり
魚に鱗、樹木に年輪あることのさびしき
朝
あした
ぐんと老いにき
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