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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
月:
2012年2月
どうしても行くというなら行けばいい蝶結びふたつ胸の上にのせ
手袋の指が充血したるまま捨てられてゐて舗道かがやく
ぎんがみを解けばかすかに霧立ちて角(かど)やはらかきチョコレート出づ
ともすればかろきねたみのきざし来る日かなかなしくものなど縫はむ
鼻孔(はな)に入(い)る異物を瞬時に出ださんと赤子は顔のまなかを縮む
唐突に物干し竿は現れて隣家に人が住み始めたり
回覧板読むまへにシャチハタの判を押す癖は変はらず母の日々(にちにち)
冷や奴の白き四つ角曲がりきて堂々めぐりに日の暮れてゆく
含み笑いをしながら視線逸らしたる生徒をぼくの若さは叱る
にんげんはそう簡単には死なぬゆえ桜の下に祖母を立たしむ
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