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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
月:
2022年5月
濃密な花のにほひを肉感にたぐへることはレシピにも似る
さみしいは何とかなるがむなしいは 躑躅の低いひくい木漏れ日
パブロンでなんとかなると信じたい 春なのにダウン着てねむります
知らぬ間に握つてゐたるレシートを伸ばせば三日前の、切手の
足裏をくすぐるやうに沸きはじめ薪の匂ひが湯殿にこもる
白磁器にたまるうすら陽かなしがり方のしずかなひとに寄りゆく
藤棚に今年の若葉出でたればその葉仰ぎて久闊を叙す
物干し竿長い長いと振りながら笑う すべてはいっときの恋
ひとを吐きひとを吸ひゆく夕駅の漣の音はおもひみざりき
あをあをと螢は消えていま闇は滴るばかりみづのにほひす
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