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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
石川 美南
おなじ地におなじ木ならび今日もまたおなじ葉と葉とあひ触れて鳴る
ねむりつく方法みつけられなくてあるだけ莢の豆はじきだす
それはもう判このようなさびしさを紙きれの上に押してもろうた
歯車の無数なる歯が噛み合ひしまま静止せる闇夜とおもふ
青年の歯科医にわが歯盗ませてきたり内部にかがやく言葉
桃色の服をあてがふ試着室にゴキブリの子の走り去る見ゆ
バラ咲いて五日を家にこもりけりこの朝土に花くずの嵩
もうここにおられんようになりました妻うらがえりうらがえり消ゆ
秋の陽の白く落ちつつ位置占めて石あり石は石の手触り
「わたくしが堅くし、たくし上げた和紙を託してみても白紙のままね」
みなそこに沈む平氏へ礼しては爺さま正座に魚釣りあげし
門ありて秋風ききし日はいつぞ独裁者死ぬみな急死なり
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