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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
カテゴリー:
一首鑑賞
草ボケの花は江戸期の飯盛(めしも)りの女の唇(くち)の紅色(べにいろ)に咲く
科学者純 焚けよと綴りし恋文が展示ケースに曝(さら)されてをり
湧きあがる清水匂えるわさび田のみどりを透きて一輪車のレイナ
ジュリアナ様と阿佐緒を称え綺の側に付きし石原純の不惑や
恋ふは乞ふましろの梨の花のもと雨乞ふ巫女か白く佇ちたる
重ねればやわらかい指ぼくたちは時代錯誤の愛を着ている
こりもせず光のほうへ手を伸ばす私のような蔓 クレマチス
そこがあなたの岬でもあるというように光翳ろうなかの頬杖
三月の暦が壁にぶら下がる君の部屋より見ゆる葉桜
父ならぬ夫ならぬよはひの人と見る散らんとしていまだ散らざるさくら
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