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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
カテゴリー:
一首鑑賞
何回も桜並木を迂回する告白を待つ少女のように
乾いてる春をかわして行く君はさよならのときも振り返らない
仕方なく雲からこぼれて来たような雨いつかやみ春の夕暮
死がすこし怖い 妻との黄昏は無数の鳥のこゑの墓原
香りたつ栄螺の腸を巻きとりてふつと誰かを許したくなる
雑踏にまぎれ消えゆく君の背をわが早春の遠景として
鳥の重みに揺れてゐる枝 どのやうに苦しむべきかわれはわからず
君の声も混じっているように思われて春の来るたび耳を澄ませる
ブラスバンドが同じところで間違ふを二人聞きをり春の三角州(デルタ)で
きみは温とく、あるいはきみは冷やけく病みびとわれのかたへにゐたり
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