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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
カテゴリー:
一首鑑賞
指半分出る手袋をして会えば指半分だけが見つめられたり
甘えたき気持ち悟られまいとしてイルカのやうな明るさを見す
やや冷えしブリ大根を熱き飯(いひ)に載せてぞ食うぶ春立つあしたを
単純でいて単純でいてそばにいて単純でいてそばにいて
鬼の面はづしてみればあはあはとひかりあひつつうみに咲くはな
かかる深き空より来たる冬日ざし得がたきひとよかちえし今も
吊られあるわがオーバーの若き日の父立つに似ていきどほろしも
ゆるやかに櫂を木陰によせてゆく明日は逢えない日々のはじまり
好きなヒトと好きだったヒトが一階と二階に眠り春の雪降る
こうやって子供を好きになってゆくのだろう青に変わるまでの信号
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