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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
大松 達知
日常という重圧につぶされてもう開かざる勝鬨橋(かちどきばし)も
おのづからなる生命のいろに花さけりわが咲く色をわれは知らぬに
くちづけにいたらぬとほき恋ありて慈姑(くわゐ)を食めるときに思へる
対岸も此岸もしげき蝉のこゑわれはこの世の橋わたりゆく
おもむろに四肢(しし)をめぐりて悲しみは過ぎゆくらんと思ひつつ居し
ぴょんぴょんと私が跳べば二人子は真似して跳べりどんな場所でも
足のうらおのが手のひらに撫づるとき旧友交歓さながらにあはれ
過ぎがてに立ちとどまりぬ魚網繕(ぬ)ふ人とかすかに心遇(あ)ひつつ
迷鳥の飛来を告げしきみのこゑの用件となりしづまりてゆく
夏の雲ふくれゆく空にんげんはこゑ出して泣くすべを持ちたり
城のごときものそそりたつ靑年の内部、怒れる目より覗けば
助走なしで翔びたちてゆく一枚の洗濯物のやうに 告げたし
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