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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
日高堯子
迎へ火の今年のほのほ澄みとほりさびしきものが火の中に燃ゆ
死者たちの群れを見下ろし苦しげに戦ぐ日の丸真夏幻影
風出でてきらきら降りくる
伝単
でんたん
を少年は摑むジャンプして取る
おほひなる天幕のなか原爆忌前夜の椅子らしずまりかへる
八月二日ゆふまぐれみんみん鳴くただひとつ鳴く入日にむきて
丘の上を白いてふてふが何かしら手渡すために越えてゆきたり
おほははの母音のひびきゆるやかに蛇行してくる
熊野川原
かははら
どんよりと曇りて目鼻なき空が坂の
上
へ
のわが家に触るるまで垂る
浄からぬ
肉体
ししむら
持てば月光の
晶
すず
しき砂漠にわれは入りゆく
水没の睡蓮花さへ赤々とみづにつらなりうつくしくある
何処とはさだかにわかねわが心さびしき時に溪川の見ゆ
師も父も母も知らざるこの雪を踏みてわが立つ天に間近く
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