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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
大松 達知
しずまらぬ死者ら泳ぎてくるゆえに月光(つきかげ)白しわがまなかいに
薔薇(ばら)もゆるなかにしら玉ひびきしてゆらぐと覚ゆわが歌の胸
われといふ瓶(かめ)をしづかに盈たしたる素水(さみづ)と思ふ、九月の君を
眠りつつベッドに垂らす子の腕よ腕より明日へ入りゆくものか
こんなところに釘が一本打たれいていじればほとりと落ちてしもうた
ベビースプーン右手左手に持ちかえる道具を持たされてかなしいか
ちちははのゐぬふるさとに帰り来て先づはひと泣きさせてもらひぬ
絵本に示す駱駝の瘤を子が問へば母はかなしむその瘤のこと
砂浜に立ち尽くしてもなにを見てゐるのか分からないときがある
基督とモーツァルトの対談にそなえるごとく椅子ならびいる
一分ときめてぬか俯す黙禱の「終り」といへばみな終るなり
虹を消すやうなる右手 教科書にカタカナを振る生徒を見れば
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