吉田隼人


【戦争にいかせたくない わたし自身が戦争になってもこの子だけは】

柴田葵「母の愛、僕のラブ」(『ねむらない樹』vol.2、書肆侃侃房:2019年)

 ドゥルーズ=ガタリの著作で「戦争機械」という言葉を見て衝撃を受けたのは大学一年の頃だからもう遠い昔のことだが、親が戦争になってでも子供を戦争に行かせないという一首には新鮮な恐怖を感じる。

子供を戦争に行かせたくないのに、自分自身が戦争になってしまう。戦争になった親に抱かれた子供はもはや戦争に行かされるのより危険かも知れない、

我が子を戦場に送り出したくない、という強い感情が、あるいは既に我が子を戦場にも似た何らかの場所に置いてしまっているのかも知れない。