吉田隼人


こころはあおい監獄なのに来てくれた かすかな足音を積もらせて

小林朗人(『率』8号:2015年)

 わたしのこころにまであなたは来てくれた。こころはあおい監獄なのに。青い監獄というと薄暗い、閉ざされた空間を思わせる。あおあおと月明りのさす孤独な監獄。閉ざした心に訪れてくれた何者か。

その何者かは「かすかな足音を積もらせて」やってきた。足音は雪のように、青い雪のように積もっていく。足音を積もらせてまで、あるいは、足音を積もらせてこそ、そのひとはやってきた。来てくれたことそのものが既に救いであるかのような、そんな訪問というものがある。足音はかすかかも知れないが、確かに積み重なっている。