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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
日高堯子
どんよりと曇りて目鼻なき空が坂の
上
へ
のわが家に触るるまで垂る
浄からぬ
肉体
ししむら
持てば月光の
晶
すず
しき砂漠にわれは入りゆく
水没の睡蓮花さへ赤々とみづにつらなりうつくしくある
何処とはさだかにわかねわが心さびしき時に溪川の見ゆ
師も父も母も知らざるこの雪を踏みてわが立つ天に間近く
母ありて帰る故郷 ひるがへるつばめよつばめ父のまぼろし
耳の奥に飼うかたつむり朝窓を打ちはじめたる雨をよろこぶ
透明な螢の血をもつかそけさよ七夕笹に子は隠れたり
真菰
まこも
もてつくれる馬を彦星の今宵の
料
りよう
と庭に並べぬ
みづからを思ひいださむ朝涼し かたつむり暗き緑に泳ぐ
掌に取れば脳やわらかし遠き森に幾筋の束なして光は落つる
東京の青空狭し 電線は黒い結界と思う七月
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