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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
日高堯子
万物は冬に雪崩れてゆくがよい追憶のみにいまはいるのだ
ざくりと踏む霜の柱の音を聴く母とわかれし日に聴きし音
風に咲く
石蕗
つはぶき
見ればわがうちにひよこのやうな黄の色ともる
大いなるあけびを貰うこうしてにんげんわらってゆくのだな
ヴァージニア・ウルフ 鱗の手触りをずっとおぼえているから冬だ
数珠玉の草の末枯れに数珠玉が種子のまつぶさ遂げんとすらし
ハロー 夜。ハロー 静かな霜柱。ハロー カップヌードルの海老たち。
白鳥の飛来地いくつ隠したる東北のやはらかき肉体は
ラ・フランス一顆掌にして帰らむに雨雲裂けてそこよりの光
蟻に水やさしくかけている秋の真顔がわたしに似ている子供
ふるさとは秋ふかむころ屋敷木の
標顔
しるべがほ
なる松も老いしか
すたれたる体横たへ枇杷の木の古き落葉のごときかなしみ
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