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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
日高堯子
一年の心洗うと酒酌まん今年別れし人をかぞえて
雪降りしきる明けがた 旅行者のわたくしを起こしたのは湖底寺院の鐘か
独り
家
や
に独り餅つく母はゐてわつしよいわつしよいこの世が白し
ふる雪に光りふるひゐるまんじゆしやげそれはあそびに遠きひとむら
冬至粥小豆ぽっぽっと膨らんで内なる鬼を追い払う色
けさ庭をよぎりし雪よ、洗ひ場の
束子
たはし
の
毳
けば
のうへに積りて
さうですと媼の答へさやかなり日向ぼこかと道にし問ふに
そのうちに百鬼夜行に入りゆかむ罅のいりたるみづ壺われは
百頭の馬の蹄の鳴る夜半のそこより展く麦立つ冬野
スタンプを押されることをまぬかれた切手のやうに生きてゐた冬
万物は冬に雪崩れてゆくがよい追憶のみにいまはいるのだ
ざくりと踏む霜の柱の音を聴く母とわかれし日に聴きし音
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